東南アジア地域研究専攻では学際的な研究と教育が行われており、大学院生は多様な学問分野に触れながら、文系だけでなく、自然と農の営みや、命と健康に関するさまざまな研究を行うこともできます。
大学院生は海外(主に東南アジア地域)を舞台にフィールドワークを行い、自身の研究を進めていきます。研究科では、各種実験室も整備しています。
このような理系の視点を兼ねそなえた地域研究が行われていることを知ってもらうために、ここでは生態環境論講座の教員の研究を紹介します。
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焼畑土地利用を長期観測してきたミャンマーとラオスの2ケ村で、食糧自給力と生活環境保全のシナリオを提言し、今後の農山村の持続的な発展と林野保全に寄与したいと考えています。
https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/members/seitai/%e7%ab%b9%e7%94%b0-%e6%99%8b%e4%b9%9f/
海岸浸食によりココヤシなど有用植物が倒れたとされる様子(ソロモン諸島リーフ環礁)
遠隔の島にボートで向かう様子(ソロモン諸島テモツ州)
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「私たちの食料の多くは、遠い外国で生産されたものです。しかしフードシステムが発達した現在、食料の生産や流通の現場について知ることが難しくなっています。本プロジェクトでは、東南アジアのラオスとベトナムで、小農の生産様式を変容する自然環境や流通システムとの関係から動的にとらえ、食料安全保障を考察しています。」
写真1:ラオスの国立生物多様性保護区のなかで行われる焼畑耕作
写真2:乾季の塩水遡上区域が拡大するベトナム・メコンデルタ
https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/members/seitai/%e5%b0%8f%e5%9d%82-%e5%ba%b7%e4%b9%8b/
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写真1(アジアゾウ:人との軋轢問題が深刻な代表種)
写真2(ユキヒョウ:世界で最も高い所にくらす大型ネコ科動物)
https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/members/seitai/kinoshita/
病を抱える患者はどのような場所で、どんな家族や仲間がいて、どんな家に住み、どんなものを食べて、日常生活する上でどんな課題を持っているのか。目の前の一人の患者が抱える病の原因や予防・治療の方策を考えていくとその背景には様々な要素があり、医学の枠にとどまっていては解決がおぼつかないことが多い。現地で人々の苦に寄り添うことで内に湧いてきた問いを重んじ、その問いを追究し、生活の場に根ざした一人一人の健康を追求していきます。
写真:ブータン東部で血圧を測るVillage Health Worker
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自然生態系は元素循環の絶妙なバランスによって維持されています。現在は特にケイ素に着目して研究を進めています。窒素やリン、カルシウムは自然生態系での生態学的意義の解明が進む一方、ケイ素は植物にとっての有益元素(植食者に対する防衛機能向上など)として農学分野で研究の対象とされてきました。その最たる例はイネ科植物ですが、熱帯地域で高い被食圧やアルミニウム害などの複合ストレスを受ける熱帯林樹木も、ケイ素を利用しているかもしれません。しかし、ケイ素が植物体内にどれほど集積し、どのように熱帯林で循環しているのか、それら基礎的な知見も未だ限られているのが現状です。対象地は東南アジア地域、他熱帯地域(中米など)で、老齢林、二次林(伐採林など)、植林地といった人為的な撹乱も含めた様々な生態系において、物質循環機構と生態系機能の解明に取り組んでいます。物質循環に限らず、森林生態系全般に関わる研究相談も受けています。興味のある方は、ぜひ気軽に相談に来てください。
写真1:マレーシアにおける生態系に配慮した低インパクト伐採
写真2:パナマのバロコロラド島の熱帯低地林
https://www.asia.asafas.kyoto-u.ac.jp/members/seitai/nakamura/
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